自然はなんと巧みに他のものの形をうまく真似るのだろうと感嘆せずにはいられない。白鷺が羽を広げて舞い降りるかのような美しい鷺草の花姿は自然が創り出した芸術品と言ってよく、まさに造化の妙である。俳人・高浜虚子は
風が吹き鷺草の
消化系統皆飛ぶが如
と鷺草が風に揺れる様子を詠んだ。一体どこへ飛んでゆくというのか。
人間の身勝手な論理と横暴により、この地上から消えた生き物は数知れない。本来は湿原地帯などに自生する山野草の鷺草もその一つで、一時期、環境の変化や乱獲などで殆ど姿を消してしまった。今なお環境省のレッドリストで準絶滅危惧種
腦部發展に指定されているが、幸いにも育てやすく、よく殖えて人工増殖が容易なために市販されるほどになった。私はもっぱら鑑賞用として栽培しているが、動物に限らず植物も含めて、私たちと同じ地球家族であることを再認識しなければならないだろう。
鷺草は一本の茎に1、2個の花をつける。勘違いされている方も多いが、羽根のように見えるのは唇弁と呼ばれる部分で、後ろの2枚が花びらである。日当たりと湿り気のあるところを好み、育てるには水苔が最もよいであろう。鷺草は数本の地下茎を伸ばしてその先端に次年度の球根を形成する。今年も秋に掘り上げて春まで大切に保存し、来年も
消化系統また大空を飛翔する鷺の美しい花姿に感動を得たいものである。
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